【インタビュー】中村悠一×櫻井孝宏 執着しない“瞬発力”が演技の肝に『虐殺器官』
でも『仕事だから、任務だから』という論理でそれを正当化するのって、程度は違うにしろ、日常生活の中でも起こりうることだなって。そこがこの作品の、突飛じゃない、何か“身近さ”を感じさせる部分ですよね」。
地に足の着いたリアリティを帯びながらも、我々の想像を超える感覚が支配する難解な世界観を演じるにあたり、こだわりの演技プランやポイントがあったのかと問うと、意外な答えが2人から返ってきた。
中村さんは「特になかったかな」と話し出し、「(クラヴィスは)主人公らしいと言いますか…。周りの影響で自分の主観が動いたり、気持ちに変化が起こるのが主人公だと思うんですけど、今回の劇場版においては、クラヴィスは真っ白な状態で始まって、仲間の言葉や任務の中で出会う人たちに影響されて、最終的に心が塗りつぶされていく。だから僕は、最初から“抱えたもの”みたいなのは用意せずに収録を行わせていただきました。導入部分は割りとフラットに演じれば大丈夫だな、って。周りにお任せしようと思ってました」。
櫻井さんは、自身の演じたジョン・ポールについて「確実に僕より頭のいい人」と称した上で、「彼のことを1から10まで全部分かるか、といったら分からないままの部分もあるだろうなと思った」