【インタビュー】中村悠一×櫻井孝宏 執着しない“瞬発力”が演技の肝に『虐殺器官』
という。「もちろん、自分なりの構築はしましたけど、お芝居のアプローチとしては、アフレコ現場での実際のお芝居のやり取りの中で生まれる閃きや、熱量や、積み上げられていく気持ちを利用しながら作り上げようと考えていた」と明かす。
2人に共通していたのは、何かを強固に貫く姿勢というよりは、現場でのやり取りに敏感に反応し、その場に応じて自身を変化させ、対応する“柔軟性”や“瞬発力”を大切にしているということだ。
中村さんは自身のことを「そんなに執着するタイプではない」と分析し「作品の登場人物が、一つのことを達成するにあたって強い信念を持って動くのを、毎度『凄いな』って思います」と打ち明けた。それを受けた櫻井さんは「でも僕、声優さんのお仕事ってこういう感覚が必要だと思うんですよね」と話す。「(声優は)覚えて何かを披露するものではないし、監督の指示によっては、いまやったことと真逆のことをその場ですぐやらないといけない。だから、切り替えであるとか、執着しないとか、そういう“瞬発力”があったほうが良い。そこにあぐらはかかないんですけど、その感覚は僕も中村くんとは近しいものはありますね」。
共通点を見出した中村さんと櫻井さん――2人が演じたのは、追い追われる構図でありながら、互いに影響し合い、強烈に惹かれ合い、最終的には共に物語を衝撃の結末へと誘う本作の“核”となる関係だ。