2017年5月28日 11:00
【シネマモード】絶望の淵から“光”が差し込む――『光をくれた人』で描かれる夫婦愛
会えない時間、待っている時間が、恋心を募らせ、愛する覚悟を育むということを、すっかり忘れていたことにも気がつきました。
でも、この物語が最も美しいのは、結ばれるまでではなく結ばれた後。確かに、過酷な戦場から戻ったトムにとって、イザベルとの出会いは人生に喜びを見出す大きなきっかけとなります。ところが、流産という悲しい出来事が度重なり、2人は試練の時を結婚後まもなく迎えてしまうのです。
結婚はエンディングではなく、人生の第二章の始まり。結婚の誓いにもあるように、どんなときにも、むしろ逆境のときにこそ、愛を確認し、深め、支え合って生きるのが夫婦というもの。ハッピーエンドのその先にあるものを誠実に描く本作は、決して甘くはない結婚生活を映し出していきます。絶望の中にあるときに、夫婦は互いの光になれるかという問いを投げかけているかのように。
主に夫であるトムの視点から描かれることが多い本作。でも、彼にとって妻が光となったというだけではなく、妻にとって、夫はどう光になれるかを描いているようにも思うのです。あなたにとって、光をくれる人とは誰のことなのか。いま、そばにいる人に感謝することを思い出させてくれる作品です。