【インタビュー】香取慎吾×白石和彌 アイドルではない“見たことのない姿”を引き出す
だが、些細な綻びが積み重なった挙句、取り返しのつかない事態が起きる。郁男は苦境に立ち向かおうとせず、目を背けてしまう男だ。
「あまりいままでは見せることができなかったけど、僕の中にも“逃げる”部分とか苦悩、つらい部分はあります。生きていると誰にでもあると思うんです。そこが人一倍多い役でしたけど、そこで感じる部分はいっぱいつながっているなというのはありました。ただ、いままでやらせていただいた役もそうだし、僕自身も思ったことは言っておきたい。『それ、違うんじゃない?』と言う方なんです。郁男は感情的な部分で隠れる。
ちょっとでも思った瞬間に人の背中に隠れるみたいなやつです。もっと早いですね、思いそうな会話になったらもう隠れる。それは、意識したかもしれない。自分で演じながらも『ひどいやつだな、駄目なやつだな』という気持ちをグッと抑える作業が大きかったかもしれない。僕としては腹立たしい部分が、シーンに映ったら駄目じゃないですか。そっちを押し殺して、本番で監督のOKが出た瞬間に『本当にひどい、こいつ!』と、やっと言える感じでした」。
東日本大震災と向き合う「その覚悟を後押ししてくれた」
東日本大震災の被災地でもある石巻での撮影は、支援活動をずっと続けてきた香取さんにとって感慨深いものだった。