C・ファース×S・トゥッチ『スーパーノヴァ』監督、若年性認知症のリサーチ「人生を変えるような経験に」
半年後、道端で偶然再会した彼女は夫が押す車いすに座っていた。そこで彼女が若年性認知症だったことを知り、衝撃を受けたという。
同時期に友人から、父親が若年性認知症と診断され介護施設に入れるという相談を受けた。監督は「この2つの経験から、映画監督としてというよりは1人の人間として病気や周囲への影響についてもっと知りたいと思ったのです。さらに以前から人が死に直面した時、どんな選択肢や権利があるのかに興味を持っていました。だから2つのテーマを融合させて種にして、本作のアイディアを育てていったのです」と語っている。
認知症を描こうと決意したマックイーン監督は、物語をよりリアルなものにするためリサーチを長期的に行った。「3年以上、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)に在籍する認知症の第一人者たちや、イギリスの医療系公益団体であるウェルカム・トラストと密に連絡をとったり、認知症患者を家族に持つ人や介護をしている多くの人々の協力を得ました。
認知症には多くの種類があり、医学的にも生物学的にも非常に複雑なものであることを学びました」と言う。「また、認知症と向き合っている人々だけでなく、認知症のために愛する人を失った人々と時間を共にする機会も得ることができました。