【映画と仕事 vol.9 後編】給与、ユニオン、英語力…衣装スタッフとして活躍する日本人が明かすNYエンタメ業界のお仕事事情
大学を出てから2年くらいで「この仕事で食べていける」という状況にはなっていましたね。ただやはりフリーランスですから「次に仕事が来なかったらどうしよう?」という不安はありました。さすがにいまは、何とかなるだろうと思えますが…。
とくにいま、ニューヨークは業界全体が年々、忙しくなっている状況です。実際、いま現在で50ほどの作品が既に決まっています。
仕事の差配から健康保険まで ユニオンに加入することのメリット
――ちなみにユニオンに加入しているか否かというのは大きいのでしょうか?
契約で守られているという意味ではだいぶ大きいと思いますし、大きい仕事になると全てユニオンなので、加入していないとそもそもそういった仕事には就けません。ユニオンについて説明しますと、そもそもデザイナーたちの「衣装」チームと私たち「ワードローブ」チームでユニオンが異なるんですね。「衣装」のユニオンのほうが加入の際のイニシエーション・フィー(加入料)も高く35万円くらいですかね。
場合によっては試験もあるし、推薦状やポートフォリオも必要だし、面接もあったりします。
一方、私たちのワードローブ・ユニオンは、それと比べると信じられないくらい簡単で、3名からの推薦状、書類作成の手数料100ドルに履歴書だけでOKで仮加入ができて、その後30日間、ユニオンのプロダクションで仕事をすれば正規のメンバーとして認められて、健康保険などにも入れるようになります。