2021年7月16日 07:45
【インタビュー】小林勇貴監督が「酒癖50」に込めた想い「批判したいのは個人ではなく“社会”」
物語の構造自体が一見したところ人のことを論っている(あげつらっている)かのような部分もあるので、それが“裁き”に見えないようにと意識しました。お酒にまつわるトラブルって日々類似のニュースが報道されていると思うんですが、実際のニュースを想起させようとか、飲酒トラブルの時事ネタを放り込んで話題にしたいという意図は演出する私には全くなく、それより人が人に対して犯してしまうこと自体を描きたいなと思いました。ただ、それも個人を批判したいのではなく、私がいつも批判したいのは“社会”の方なんです。
第1話で主役の酒野が過ちを犯した人に対して「でもあなたのような方が優れているとされる社会ですよね」という指摘をしていて、人を生きづらくさせている社会について描きたかったです。――確かに登場人物はみんな積極的に自分の意思で飲んでいるというよりは、仕事のために、場を盛り上げるために、仕方なく飲んでいるケースが多いように見えました。
はい、それを美徳とする社会がその背景にあると思います。
――お酒を強要されるような「アルハラ」は、小林監督自身の世代からするとあまりイメージが湧かないのかなと思いますが、いかがでしょうか?
私自身は、お酒を強要されるというようなことは全く受けたことがありませんね。