2021年11月25日 17:00
【映画と仕事 vol.12】字幕翻訳者・高内朝子インタビュー 時代背景や文脈、シチュエーションに合わせた柔軟な字幕を
いまは、配信サービスが増えて、翻訳者名が出るもの出ないもの含め、翻訳の仕事はますます増えていますね。スクールも盛況だと聞いています。
――先日、公開を迎えたヴィゴ・モーテンセン初監督作『フォーリング 50年間の想い出』の字幕も担当されていますが、こうした劇場公開の映画の場合、依頼から制作、納品までどのような流れで仕事を進めていくのでしょうか?
劇場映画の場合、配給会社から直接、私のようなフリーランスの字幕翻訳者に依頼が来ることもありますが、多くの場合は間に(字幕の)制作会社が入っていて、そこから話をいただきます。今回の『フォーリング 50年間の想い出』も制作会社さんからの依頼ですね。納期も作品によって違いますが、今回は2週間ほどいただきました。
まず“素材”と呼ばれる映像とスクリプト(脚本)をもらいます。最近の翻訳者はたいてい持っている字幕制作ソフトというものがあるんですが、そこで映像と自分が入力した文字を出して、どういう感じで字幕が出るかを目で確かめることができるんです。
作業としてはまず“ハコ割り”と呼ばれるプロセスがあって、このセリフのまとまりでひとつの字幕にしようというのを決めて、原語を区切っていきます。