【映画と仕事 vol.14】史上最大級の“死んでいる”怪獣をどうつくるか? “バカバカしさ”を求めた三木聡監督に造形師・若狭新一が示した答え
――あくまでも映画本編における怪獣はCGですが、若狭さんが最初に粘土で作った怪獣は、デザインの“完成形”を示すものとして必要だったと。約80センチの模型(マケット)を作り、さらに、この模型を3Dスキャンして、約6メートルの美術の造形物を作ったのですが、ただ、これらにはきちんとした使い道があります。
今回の映画は、ある意味で旧来の20世紀の撮影と21世紀の撮影のハイブリッドとも言えるやり方をしたと思っていて、昔であれば、この80センチの模型を元に紙の上に図面を引いて、発泡スチロールを削って美術を作ったりしてたんですけど、それだと手作りなので、職人さんの感性によって、大きさがバラバラになったりすることもあったわけです。
僕としては、最初に80センチの模型を作る時点で、できる限りの情報はそこに詰め込んだつもりでした。理想と言えるものをこの模型できちんと作ることができれば、いまの技術で、それを基準にして、より大きなものもブレることなく正確に作ることができるし、そのデータをロケハンや打ち合わせで活用することもできます。“プリビジュアライゼーション”と言われる、撮影の前の段階での「こんなカットを想定しています」