日米デザイナー対談! 2人のデザイナーは鬼才ホン・サンスの世界をどう切り取ったのか?
――おふたりとも、これまで同じホン・サンス監督の作品をいくつも担当されていますが、『逃げた女』のポスターを見ると、同じ作品のものと思えないくらい、印象が異なります。どんなことを大切にし、このデザインに至ったのかを教えてください。
ブライアン:あのデザインは結構、苦労しました(苦笑)。当時、ポスターデザインの仕事に決して飽きたというわけではないんですが、同じようなことの繰り返しをしている気持ちになっていたんですね。
ちょうどその時期にあの映画を観て、これまでにやったことのないデザインを試してみたくなって、やってみたんですが、クライアントからは即「ダメ」と言われまして…(笑)。そこでもう一度、自分のデザインを見直して、「この映画はこういう作品なんじゃないか?」と考えて、映画に寄り添いつつ、自分がつくっていて楽しいものをつくろうとやり直しました。
その時、自分が感じていた停滞感は、新しいことをやろうとしてこなかったから感じたものなんだとわかりました。自分自身を楽しませて(=entertain)、デザインすることができたんです。
それを見せたらクライアントはすぐに「これはいいね」と言ってもらえました。