2014年12月19日 16:00
女の節目~人生の選択 (8) vol.8「初めての、スポットライト」【14歳】
なんて思っていた。
○少し気が多い私なりに
タワーレコード渋谷店がまだ東急ハンズの向かいにあった頃で、最初はavex traxの無料配布冊子『beatfreak』が欲しくて通っていた。ジュリアナ死せどもディスコは死せず、行ったこともないクラブの名を冠したコンピレーション盤を聴きあさる毎日だ。あるとき奥のほうのこぢんまりした一角に立ち寄ると、煌びやかなダンスミュージックと違って手作り感満載、おそろしく地味でどことなくフレンチで見るからに喧嘩の弱そうなジャケットばかり並んだコーナーがあった。その試聴機で聴いたカヒミ・カリィのマキシシングルが、私と「渋谷系」との出会い。
あの街が渋谷系ムーブメント一色に染まっていたなんて、あまりにも美化されすぎた思い出ではなかろうか。現実にはWANDSとZARDにtrfが加わる三国無双を、夏はTUBEが抱きしめて、定期券で途中下車する門限20時の中学生は、同じ街のいつどこでブギーバックがシェキラッているのか皆目見当もつかなかった。音楽雑誌の解説を頼りにサンプリングの元ネタを学び、好きなミュージシャンが私淑するミュージシャンを辿って聴き、国境も時代も越えて、ただ無料試聴機の前で毎日毎日、空想地球一周旅行をしては19時台の地下鉄で帰っていたよ。