『るろ剣』の戦いはなぜ「すごい」のか? 谷垣健治アクション監督に聞く撮影ポイント
ではさらに進化した映像を見ることができる。一方で、鑑賞者としては「何かすごいことはわかるんだけど、何がすごいのか具体的にはわからない……」ということも多いだろう。今回は、そんなアクション初心者に向けて、撮影の面から『るろ剣』アクションの面白さについて話を聞いていく。
○■剣心の刀はもはやカメラを狙う
――『るろうに剣心』のアクションでは、「マスターショット」という、カットを切るのではなく長回しで撮影する手法が採用されてるということですが、どんな利点があるのでしょうか?
マスターショットは元々大友監督も取り入れられていますが、「本当に戦っている」ように見せることができる点が大きいですね。伝統的な香港映画などのように、最初に1手~3手までやってカット、次に4手~7手まで……と撮っていったら、カットごとに決めが入る完璧なアクションにはなるんですが、呼吸感などもメカニカルになってしまう。もちろん、その完璧さで勝負する映画もありますけど、『るろ剣』に求めているのは完璧な振りではなく、本当に戦っている感じ、ということなんです。ちゃんと決まった手はあるんだけど、それを通してやることで生まれるものが、映像に出ている。