2015年11月14日 12:00
紀里谷和明監督、ハリウッド進出作『ラスト・ナイツ』で表現した国籍の壁のない世界「そもそもその概念がない」
感情がモニター越しに伝わるのか、見てくださる方々にお届けできるのかということだけですね。
――感情を引き出すにあたって、キャストの方たちにどのような働きかけをされていたのでしょうか。
これだけのキャストなので、モーガン・フリーマンから何か引き出すこともないですし、みなさんそれをわかって現場にいらっしゃっているので、ほとんど何も言うことはないという感じでした。
――なるほど。あまり口頭での指示というのはなかったんですね。
アン・ソンギさんが後にインタビューで「お互いの目を見て成立していた。目を見れば監督が何を言おうとしているのかわかる領域での仕事だった」とおっしゃってくださっていて、すごくうれしかったです。モーガンもクライヴも、何をしようとしているのかみなさんわかっていました。
僕としては、若い俳優さんに、自分が知らないことはやらないでくれと言いました。どういうことかと言うと、「自分はヨーロッパ人をやらなければいけないのか」と聞かれたことがあり、「そうじゃない。あなたの国にもこういう人はいるはずだ」と。武士道がいい例で、ヨーロッパだと騎士道になるし、アメリカだと自己犠牲の精神であり、しかもそれらは形があるわけではない。