くらし情報『さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (2) フィーレイは舞い降りた』

2016年2月23日 14:00

さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (2) フィーレイは舞い降りた

最終的にフィーレイが降り立った場所は、起伏の多い岩場であった。アギルキアから1kmほど離れたこの場所を、運用チームは「アビドス」と名付けた。エジプト神話に登場するオシリス神が復活したとされる地の名前である。

着陸はしたものの、フィーレイの置かれた状況は芳しくなかった。3本の脚はすべて接地してはいたものの、機体は大きく傾き、脚の1本は宇宙空間を指しているような姿勢だった。さらに、起伏の多い地形の影響で太陽からの光が当たりづらく、太陽電池による発電が十分にできず、バッテリーの容量は徐々に減っていった。

それでもフィーレイは探査を開始し、科学者らが予定していた初期観測の80%あまりを完了した。その後、探査機内のフライホイールを回転させ、その反動で、より太陽光が当たりやすい場所へ移動させることも試みられた。
その結果、機体は約4cm持ち上がり、35度ほど回転もしたと考えられているが、しかし探査を続けるには不十分だった。姿勢を変えた直後から、バッテリーの電力は急減し、機器は機能を停止し始めた。そして11月15日の9時36分には、ついに通信が切れた。ロゼッタとの分離からここまでのフィーレイの活動時間は64時間だった。

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