くらし情報『さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (2) フィーレイは舞い降りた』

2016年2月23日 14:00

さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (2) フィーレイは舞い降りた

しかし、分離の直前に行われた確認で、機体を彗星表面に押さえつけるためのスラスターが機能しないことが判明した。噴射する窒素ガスはタンクに入っており、ロゼッタから分離される前に2本の針を使って、ワックスで作られた気密を突き破ることになっていた。しかし針は発射されたものの、タンクからガスは出てこなかった。予備として搭載されていたもう2本の針も発射されたものの、結果は変わらず、スラスターは噴射できない状態にあると考えられた。

このスラスターを使わずに無事に着陸できるのかは誰にもわからなかった。ロゼッタから分離する予定時刻が迫る中、運用チームは、着陸を実施するかどうかの決断を迫られた。だが、延期したとしても、今後スラスターが使えるようになる見通しはない。一方で、彗星は徐々に太陽に近付いていることから、彗星からの塵やガスが噴き出す恐れがあり、着陸のための条件は悪くなる一方だった。


運用チームは12日16時35分(日本時間、以下同)、フィーレイの着陸を実施することを決定した。そして1時間後の17時35分、ロゼッタからフィーレイが分離した。

その信号が届き、地球がその確認を取ることができたのは、約30分後の18時3分のことだった。

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