北野武監督の崖っぷちと『アウトレイジ』3部作の真実 - オフィス北野社長・森昌行P、同志の告白【短期連載 暴走の黒幕】
たけしさんは仕事に対してはハッキリものを言う方で、なあなあを許さない方。適当な説明をしていると、「ごまかすな」とお叱りを受けます。そんなことは通用しない方なので。「アウトレイジ」は結果として3作になって、本人は「『アウトレイジ リボーン』もできる」とか言ってますけど、それは冗談として(笑)。プロデューサーの立場から区切っていくことが私の仕事です。
○振り子の先を見据える観察眼
――過去のインタビュー(キネ旬ムック フィルムメーカーズ『北野武 TAKESHI KITANO』98年)では、監督の世界観の幅を「振り子」と表現されていましたが、これから監督としての北野武にどのようなことを期待されていますか? 「アウトレイジ」が終わる寂しさも感じつつ、今後も楽しみです。
本人は「バイオレンスをやったから、次は違うもの(恋愛映画)を撮りたい」と言ってますけど、「バイオレンス」と「愛」は実は振り子の関係で、また「バイオレンス」を描く時の表現の幅にも繋がる。今でも私の中での「監督・北野武」は振り子の人です。
ただし、私が「振り子」と図式化した時点で、本人にとっては嫌悪感も抱く時期なのかなと思っています。