ドローンでひとつの街をスキャンして再現する…『鋼の錬金術師』CGの本当のすごさとは
アクションでも、水石くんの頭よりもかなり上を殴らなければいけないんですよ。山田涼介の勘の良さで、ちゃんとアルの頭に拳が届いています。撮影はこういった変則的なことの繰り返しでした。
――人とCGのキャラクターが絡むというのも、大変そうですよね。
兄弟喧嘩のシーンがあるのですが、このシーンはハリウッドでも最難度のVFXだと思いますただ単に演技をするのではなく、CGキャラクターと生身の人間がくんずほぐれつのアクションを繰り広げるので、これをごく自然なシーンに見せるのは、今までの技術では到底無理でした。
日本のCG技術がここまで来たという象徴的なシーンとなりました。黙っていれば、観客の方はアルがCGだとは気づかないと思います。仕上がったシーンを見て、自分たちですら鳥肌が立ちました。
ひとつのターニングポイントを迎えたと思います。日本映画はこれから先がますます面白くなってくると思います。
※曽利監督インタビュー、最終回(12月17日公開予定)は山田涼介さんのオーラについて伺っていきます。■曽利文彦監督
大阪府出身。1997年、USC(南カリフォルニア大学大学院)映画学科在学中、ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』に、CGアニメーターとして参加し、帰国後にVFXスーパーバイザーとして、『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』(00)