奥様はコマガール (56) 結婚とスピード出世の浅からぬ関係
「××の野郎は仕事がまったくできん」などと話しているのを聞くうちに、だんだん彼らのことが自分の部下のように思えてくる。
A子と部長は夫婦であり、つまり対等の立場なのだから、これはもうしょうがない。
むしろA子がそう振る舞ったほうが、社会は丸くおさまるはずだ。
企業で働く女性にとって究極のスピード出世とは、上司との結婚なのではなかろうか。
これは僕の妻であるチーにも、いくらか当てはまっている。
たとえば家庭の中で、僕が自分と同等か、あるいは年下の友人・知人の話をするとき、当然のように「○○くんがどうこう」「××の野郎がどうこう」と言うわけだが、それを聞いているうちにチーも「○○くん」「××くん」という表現を使うようになった。そして、彼らと実際に対面してもチーはごく自然にタメ口を使い、彼らも彼らでチーに対して敬語を使ったりする。
しかしよく考えてみると、彼らはみんなチーより年上なのだ。
今年36歳になる僕にとっては後輩の大半が30代であり、まだ29歳のチーにしてみれば立派な先輩だ。
チーは僕との7歳差の結婚を果たしたことによって、そんな先輩連中に対してタメ口を使うようになり、それを社会の一般常識もまた、寛大に許容している。