天気とは関係なく、気分は毎日、今にも雨が漏れしたたりそうなほど、どんよりと曇り、とても重たい。
打ち合わせで発言をすると「まだ早い」と帰り道にたしなめられる。公募の研修を受けたいと申し出ると「入社6年目までは無理だ」と笑われる。「メールをしました」と席まで伝えに行かなければ、非常識だと30分以上叱られたりもした。
毎晩のように取引先との飲み会が続き、苦手な紹興酒もたくさん飲まなければならなかった。お酒の席で年齢を聞かれ「27です」と答えると、「なあんだ、つまらない」と言われ、毎回「ひどーい」とカラカラと笑わなければいけない。
限界だった。
「外国だと思うしかないよ」と恋人は慰めてくれるけれど、わたしは海外こそ蛍光イエローのバナナようなワンピースや、ハッと目の覚めるようなグリーンのノースリーブが着たい。
だけどもう、そんなに遠くへ出かける元気もなかった。
「なにが一番嫌だ?」彼に尋ねられ、「もう……スーツなんて着たくない」とわたしはおいおい泣いた。スーツの胸ボタンのように、もうなにかもが苦しい。彼は眉をハの字にして「辞めてもいいよ」と真面目に言った。
「わたし、文章が書きたい」とつぶやくと、うんうんと頷きながら、「それに……洋服はピンク色が似合うと思う」