「きれい」だった能楽が「楽しい」に変わるまで【和のお稽古体験談】
(撮影:今村綾子)
――そこからなぜお稽古を始めようと思ったのですか?
ユウコさん:もともと白洲正子さんが好きで著書をよく読んでいたので、素人でもお稽古として習えるということは知っていたんです。
それから、2005年に宇宙飛行士の野口聡一さんが、「天女の扇」を宇宙に持って行ったと話題になったことはご存知ですか。
――宇宙に「天女の扇」ですか。
ユウコさん:その「天女の扇」は、中啓という扇で、能『羽衣』(*2)でまさしく天女が持つ扇なんですね。当時のインタビューで「船外活動のときに能の動きが参考になった」とお話しになっているのを見て、能の動きについて興味を持つようになりました。
でも一番の決定打は、ずっと贔屓にしていた役者さんが、能を習っているということを聞いて。もともと能へのアンテナが伸びていたことに重なって、それなら私もやってみようと。かなりミーハーな動機でした。
「和の心を伝えたい」という野口さんの想いとともに、宇宙に飛び立った扇と同じ「中啓」
(*2)羽衣……三保の松原の羽衣伝説をもとにした能。終盤、シテの天女は羽衣を着て、月宮の様子を表す舞いなどを見せる。
出典:http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_011.html
■お稽古ごととしての能の魅力
――能を始めて、もう10年以上になるわけですが、続けられたのはどうしてだと思いますか。