岡田将生「人と人とのバランスを楽しみながら、自分を知っていく」――自分らしさのヒント
しかし彼は、昔から前に出るタイプではない、と言う。
「今回の映画は、7年前に『雷桜』でご一緒した廣木監督の現場。そのころから知っているスタッフさんには『大人になったね』なんて言ってもらったりしましたが、演じていくなかで『前に出ろ』とか『人に気を遣うな』と言われるのは、昔と同じでした。
自分のそういうところは好きじゃないし、変えたいと思っているけれど、なかなか変えられない。いつも『今日も言えなかったな……』って反省して『明日は頑張ってみるか』って思う」
明日になってもまたできなかったりするんだけど、と、眉を寄せて笑う。
自分とまっすぐ向き合うことは、それだけでも難しい。
岡田が多くのファンだけでなく、俳優仲間や監督たちにも愛される理由が、その素直な姿勢にも垣間見えた。
「でも、みんながみんな前に出る必要もない。
僕の中身を汲み取ってくれる人もいるし、汲み取らないことですごくいい方向に進めてくれる人もいる。
そういう“人と人とのバランス”を楽しめばいいのかな、って最近は思えるようになってきました」
自分の内側から、言葉を探るように話す。
変わらないことも、変わりたいと思うことも、変われないことも、悪くない。