「今の時代に能楽は絶対に必要」観るのは“舞台”ではなく、“自分の人生”だ
なぜならば、先ほどお話したように、能楽というもの自体が、エンターテインメントのセオリーから外れているからです。
「面白い」の基準がそもそも違うのです。興味深いということを「面白い」と感じられるかどうかが、問題になってきます。
たとえば、「面白いよ」と人から勧められて見にきたときに、エンターテインメントの基準で見てしまうと、きっと期待外れだと思われてしまうんです。ちょっとお茶しに来ただけだったのに、がっつりステーキが出てきて、なんだか胃もたれしちゃったな……というような(笑)。
まずはエンターテインメントの概念から外れて、能楽の楽しみ方とはステップをひとつずつ踏み固めていくようなものなのだと、知っていただけたらと思っています。
■7/28開催「和の会」公演のテーマは「祝祭」
──「和の会」は今年でグランドフィナーレを迎えられるとか。今回の演目『七人猩々(しちにんしょうじょう)』の見どころについてぜひお聞かせください。
毎年「和の会」の公演では、テーマがシンプルで、一言で表せるような曲を上演していまして、今年の『七人猩々』でいえば「祝祭」です。
「猩々(しょうじょう)」という水の精霊が出てきて舞うという、メッセージ性はほとんどない曲です。