「今の時代に能楽は絶対に必要」観るのは“舞台”ではなく、“自分の人生”だ
ただ、お祝いがだんだんと形式的になってきている現代で、「祝う」ことのひとつの在り方が提示されています。相手の幸せを自分の幸せのように感じて、祝うなかで自分も一緒に楽しんでしまう。まだコミュニティが小さかった古代のお祭りに近い感覚があると思いますね。
水の上を歩いていることを表す独特な足遣いもしますので、ぜひそちらも注目してみてください。
──シテ(主役・猩々)が7人いるそうですが……舞台上で狭くはないんですか?
狭いです(笑)。
シテ(主役)が7人もいると、演者にとってはやはり狭いらしい
──7人もいると舞を合わせるのも大変そうです。
これがまた能楽の独特なところなのですが、ショーと違って完璧にシンクロするということは求めていないんです。
能楽は身体のリズムに合わせてやっていますが、人の心拍数は人それぞれなので、自然とずれてくるところがあるわけです。
ここを100%合わせてしまうとかえって面白くなくなってしまいます。輪唱のように、そのときの互いの空気で、あえて外すということをしたりします。
あえて外す人間臭さというか、「気持ちのいい違和感」を創りたいと思っていますので、お客様にもぜひ遊び心をもって見ていただければ。