世界的パティシエ・辻口博啓氏の創作の過程を描くドキュメンタリー映画『LE CHOCOLAT DE H』
そして今、ショコラ業界の新たな潮流は「Tree to Bar(ツリートゥバー)」。カカオ豆を厳選することだけでなく、良質なカカオ豆の栽培を自らマネージメントすることへと進んでいるのです。
辻口はその先頭を走るサンティアゴ・ペラルタ氏の案内で、カカオを巡る旅へと出発します。南米・赤道直下のエクアドル、エスメラルダスのカカオ農園。そして、ジャングル地帯が大部分を占めるナポ州。カカオが人間にもたらす恩恵とその神秘性に、辻口氏は大きな感銘を受けます。
◼︎素材探しの旅ーー日本
香り豊かなカカオと、日本の食材を掛け合わせ、いかに新しいショコラを作るか――
日本に戻った辻口氏は、「発酵と発酵のマリアージュ」を追求し、和の食材へとたどり着きます。
まず、日本の食卓に欠かすことのできない味噌と、その発酵のもととなる米こうじです。
長野県の美麻高原にある味噌蔵では、11年もの長い時間熟成された「究極の味噌」と出会います。

そして、次に出会ったのが米のリキュールでもある「みりん」です。 愛知県碧南市にある角谷文治郎商店の3代目・角谷利夫さんは自然の発酵にゆだねて時間をかけ、米が持つ豊かな甘みを最大限に引き出したみりん作りを行っています。