映画『ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』感想。ヒトラーの秘宝。美と権力に秘められた名画ミステリー!
こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。
10連休はいかがお過ごしですか?面白いアートや映画に触れて五感をリフレッシュするのもいいですね!【シネマの時間】第64回は、“ヒトラーの秘宝、闇の美術史” 名画ミステリー映画『ヒトラーVS.ピカソ奪われた名画のゆくえ』をお送りします。
アドルフ・ヒトラー(1889年4月20日〜1945年4月30日)が若い頃、画家を志していた逸話はよく知られていますが(ウィーン美術アカデミーを2度受験するが不合格)、政権掌握後も美術に関心の強かったヒトラーは、右腕的存在のゲーリング国家元帥や息のかかった画商を通じて、ユダヤ人富裕層が所有する美術品の略奪に躍起になります。
なぜ、ナチス・ドイツは、いやヒトラーは、これほどまでに美術品略奪に執着したのでしょうか?
ナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した芸術品の総数は約60万点にのぼり、戦後70年以上経った今でも10万点が行方不明と言われます。
彼らは、ピカソ、ゴッホ、フェルメール、マティス、ルノワール、ブリューゲル、モネらの傑作に「退廃芸術」の烙印を押し、一方で純粋なアーリア人による写実的で古典主義な作品を擁護。