大切な器を直して、長く使う「金継ぎ」とは? ~「金継ぎ部」体験レポート!<後篇>
その後、生漆に酸化鉄を加えて黒く着色した、中塗り用の漆を筆に取り、漆を埋めた部分に塗っていきます。その際、厚く塗りすぎると中が乾かず、ちぢみが出てしまうため、薄く塗るのがポイントだそう。ひびに沿って筆で塗るのは、手が震えてしまったり、線が太くなったりしましたが、コツを掴んだらうまく塗れるようになりました。器を継いだ状態で、2回目の作業を終わりました。
その後、3回目に乾かした中塗りをサンドペーパーで研ぎ、もう一度黒い漆で中塗りして乾かした後、4回目に中塗りを再度サンドペーパーで研ぎ、金や真鍮、銀、錫などを塗り、金属粉を蒔きつけます。
5回目に生漆を灯油で薄めたものを筆で塗り、ティッシュにつかなくなるまで抑えて拭き取る「粉固め」をして、6回目に金継ぎした場所を菜種油に石粉を少量つけて、光るまで磨くとようやく完成。いわゆる“金継ぎ”を終了させるまで、全部で11行程ありますが、中塗りを2回繰り返したところで大丈夫とのこと。ここで完成としました。
「縄文時代から漆を接着剤として使ってきたので、本来金継ぎは器より目立たず、助けてくれるものだったと思うんです。個人的にも金属を使わずに、漆だけで継いだ素朴なものが好きですね。金属を使わないと安くできるので、漆だけの金継ぎもおすすめです」と堀さん。