2018年8月6日 06:00|ウーマンエキサイト

育休のことどれくらい知ってる? いつ申請をする?もらえる条件は?

妊娠がわかったら喜びの気持ちがわきあがる一方で、金銭的な心配が胸をよぎるものですよね。働いているママたちにおいては、育休中にもらえる「育児休業給付金」のことが気になるという人も多いかもしれません。

育休中にもらえるお金は、家族の生活にも関わってくることなので、きちんと知っておく必要があります。今回は、「育児休業給付金」について考えてみたいと思います。

目次

・そもそも「育児休業」とは? その条件や期間は?
・「育児休業給付金」とは?条件やもらえる期間は?
・育児休業給付金の申請方法
・育児休業給付金にまつわる疑問
・まとめ


育児休業給付金

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■そもそも「育児休業」とは? その条件や期間は?

「育児休業」については、日常会話でも耳にすることが多い言葉ですが、その条件や期間など、基本的な部分についておさらいしておきます。


▼育児休業とは?


育児休業給付金

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「育児休業」とは、「育児・介護休業法」(※1)に基づいて定められている休業のことです。原則としては生後1歳、一定の条件が合えば最長2歳までの子を養育している人に認められていて、女性だけでなく男性も取得することができます。

日本では、女性の社会進出が進んだことや核家族化などを受けて、1991年に民間のすべての労働者を対象とした「育児休業法」が成立し、翌年から施行されました。その後、育児休業法に介護休業精度が盛り込まれ、現在の「育児・介護休業法」という形になっています。

2017年に内容が一部改正され、条件が整えば最長2歳まで育児休業が取れるようになったことも記憶に新しいですよね。

厚生労働省の調査(※2)によると、2017年度における女性の育児休業取得率は83.2%でした。10年前の56.4%と比べても26.8ポイント増えていて、育児休業の取得率が年々増えていることがわかります。

子どもが生まれたら会社を辞めるという人が減り、育児休業を取得して職場に復帰するという流れが当たり前のものとなりつつあると言えるかもしれません。


ちなみに、似た言葉の「育児休暇」は公的なものではなく、休暇に育児を行うことを言います。

▼条件について


育児休業給付金

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育児休業は、正社員だけしか取れないと思っている人が多いかもしれませんが、パート社員や派遣社員、契約社員でも取得することができます。厚生労働省が発行しているパンフレット(※3)によると、育児休業を取得できる条件は以下の通りです。
・同一の事業主に引き続1年以上雇用されている
・子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
・子どもの2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了していて、かつ、契約が更新されないことが明らかでない

また以下の要件にあてはまる場合は、育児休業を取得することができません。
・雇用された期間が1年未満
・1年以内に雇用関係が終了する
・週の所定労働日数が2日以下
・日々雇用されている

自分が条件に当てはまるかどうかわからない場合は、育児休業を取得できるかどうか最寄りのハローワークに相談してみましょう。


▼期間について


育児休業給付金

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産後休業から引き続いて育児休業を取得する女性の場合は、出産日から起算して58日目が育児休業の開始日となります。そして、育児休暇を取得できる期間は、産前・産後休暇が終わったあとから、基本的には子どもが1歳を迎えるまでです。

ただし、保育園に入れない、配偶者が亡くなってしまったなどの場合は、最長で子どもが2歳になるまで延長することができる措置が取られています。育児休暇の取得は1ヶ月前まで、期間を延長する場合は、2週間前までに申し出る必要があるため、早めの行動が重要です。

また、2010年からは共働き家庭を対象とした「パパママ育休プラス」(※4)という制度が始まり、父親と母親の両方が育児休業を取得すれば、育児休業の期間を2ヶ月延長することができるようになりました。ただ、延長するためには以下の要件を満たす必要があります。
・配偶者が、子どもが1歳に達するまでに育児休業を取得していること
・本人の育児休業開始予定日が、子どもの1歳の誕生日以前であること
・本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

さらに、1人当たりの育休取得できる最大日数は変わらず、産後休業含め1年間までなので、注意が必要です。

■「育児休業給付金」とは?条件やもらえる期間は?


育休のことどれくらい知ってる? いつ申請をする?もらえる条件は?

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それでは、「育児休業給付金」(※5)について見ていきましょう。

▼育児休業給付金とは


育児休業給付金は、育児休業中に原則として給料が出ないため、本人が加入している雇用保険(共済組合)が生活をサポートするために支給するものです。


▼条件について


育児休業給付金は育児休業終了後の職場復帰を前提としているため、すでに退職を予定しているのであれば、育児休業給付の支給対象とはなりません。その点はしっかりと認識しておくことが重要です。以下の要件を満たす場合のみ、支給が認められます。
・雇用保険に加入している
・育児休業に入る前の2年間に被保険者期間が12ヶ月以上ある
(1ヶ月に11日以上働いた月を1ヶ月とする)
・ 育児休業期間中の1ヶ月ごとに、休業開始前の1ヶ月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていない
・休業している日数が、支給対象期間ごとに20日以上ある
(休業の終了日が含まれる支給対象期間は、休業日が1日でもあれば20日以上である必要はない)
・有期の雇用労働者について、育児休業開始時において、同じ勤務先で1年以上雇用が継続していて、さらに子どもが1歳までの間に労働契約の更新が見込まれる

上記の条件に沿って考えると、1ヶ月間に11日以上働いた月が2年間に12ヶ月以上ある場合は、転職などして複数の会社で働いていた場合でも支給の対象となります。

条件が多く、その内容も複雑なため、1つ1つの要件に当てはまるかどうか、しっかりとチェックしておきましょう。

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▼期間について


育児休業給付金が支給されるのは、産後56日間の産後休業が終わり、育児休業に切り替わる産後57日目からです。それから原則としては子どもが1歳に達する日の前日までが支給期間となります。

ただ、育児休業は特別な理由がある場合は最長で2歳まで延長することができるため、それに伴い、育児休業給付金も条件が合えば2歳に達する日の前日まで受給することができます。


▼いくらもらえるの?


育児休業給付の金額は、「休業開始時賃金日額(原則として育児休業開始前6ヶ月間の総支給額÷180)×支給日数(原則として30日)×67%(育児休業開始から6ヶ月が経った後は50%)」により、算出します。

ただし、育児休業給付金でもらえる金額には限度額があります。上限額は、支給が67%のときは29万9691円、支給が50%のときは22万3650円となり、給料が多い人は支給率が規定を下回ってしまう可能性もあります。

たとえば、育児休業前の1ヶ月当たりの賃金が30万円だった場合、まず育児休業給付金として、6ヶ月間は30万円の67%相当額の20万1000円が支給されます。そして、6ヶ月が経ったあとは、50%相当額の15万円が支給されます。

しかし1ヶ月あたりの賃金が50万円だった場合は、6ヶ月間は本来67%の33万5000円が支給される計算となりますが、限度額の29万9691円を超えているため、この限度額が支給されることになるのです。

育児休業給付は、支給決定日から1週間程度で口座に振り込まれるようなので、「育児休業給付金支給決定通知書」が届いたら、支給決定日を確認しておきましょう。

初回の支給申請は育児休業が始まった日から、4ヶ月後の月末までに行えばいいので、会社によっては、ハローワークへの申請手続きがすぐに行われないこともあるようです。
通知書が届かない場合は、勤務先に確認してみましょう。

また、手元でおよその支給額を計算することはできますが、正確な金額を知りたい場合は、最寄りのハローワークで相談してみてくださいね。

■育児休業給付金の申請方法

それでは、次は具体的にどうすれば給付金を受け取ることができるのか、見ていきます。

▼申請までの流れ


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育児休業給付金の手続き(※6)は、本来ハローワークで行う必要がありますが、勤務先が本人の代わりにしてくれることが多いようです。そのため、勤務先の担当窓口と、しっかりと意思疎通をして、必要な書類や情報の確認をしておくことが大切です。

申請までの流れとしては、まず産休に入る前に、勤務先に育児休業の取得の意思を伝えて、必要な書類をもらいます。そして、育児休業を取得する1ヶ月前など、職場の就業規則で定められた期限までに、必要事項を記入した書類など、申請に必要なものを勤務先に提出しましょう。その後、勤務先からハローワークに書類が提出されて、誤りがなければ、給付金を受給することができます。

書類の提出については、自分で直接ハローワークに提出しなければならない場合もあります。給付金は育児休業に入ったあと、2ヶ月ごとに給付金が振り込まれ、2ヶ月おきに追加申請が必要になります。

▼勤務先に確認しておくこと


ハローワークとのやり取りを勤務先が行ってくれる場合、しっかりと勤務先に自分の意思を伝えておくこと、必要なことは確認しておくことが大切です。
・育児休業を取得したいこと
・どれくらいの期間、育児休業を取得する予定なのか
・いつまでに何を提出すればいいか、郵送でもいいのかどうか
(ハローワークへの書類の提出を会社がしてくれるのか)
・育児休業中に給料が発生しないかどうか
・育児休業給付金の手続きが完了するのはいつごろか
(振り込みが始まる時期の目安を知るため)
・初回申請以降の手続き方法について

上記のような内容をあらかじめ把握できていると、赤ちゃんが生まれたあとに慌てる必要がないので、確認しておくといいかもしれません。

▼育児休業給付金の申請に必要な書類


育児休業給付金の申請のためにハローワークに提出する書類は、以下の通りです。

(1)雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(勤務先が準備)
(2)育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 
(3)賃金台帳、労働者名簿、出勤簿またはタイムカードなど(勤務先が準備)
(4)母子手帳など育児を行っている事実を確認できる書類



このうち(1)と(3)については勤務先が準備してくれるので、(2)と(4)を用意する必要があります。

(2)の書類は勤務先から受け取り、育児休業に入る1ヶ月前など、規定の時期までに勤務先に提出するものです。子どもの生年月日を記入する欄があり、出産後の産休中に提出する必要があります。産後は赤ちゃんのお世話で忙しくなるので、産前の時間があるうちに、わかる箇所を記入しておくと安心かもしれません。

書類には、雇用保険の被保険者番号や、マイナンバーを記載する欄があります。また、振り込み先の金融機関の名称や口座番号、銀行の確認印もしくは通帳の写しも必要です。記入するときは、被保険者証やマイナンバー通知カード、通帳などの書類をそろえてからにすると、スムーズに行えるでしょう。

また、(4)についてですが、母子手帳の赤ちゃんの出生証明のページのコピーが必要です。産後、病院や助産院が記入してくれるので、その後写しをとりましょう。

その後は2ヶ月ごとに育児休業給付金支給申請書とその他の必要書類をハローワークに提出する必要があります。勤務先が代わりに行ってくれることが多いですが、いつまでに何の書類を用意すればいいのか、確認しておく必要があります。

▼パパママ育休プラス制度を利用する場合の手続き方法


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先ほども少し出てきましたが、共働き家庭で夫婦ともに育児休業を取得する際に、子どもが1歳2ヶ月になるまで取得期間を延長できる「パパママ育休プラス制度」。まずは、この制度を利用して育児休業給付金を申請するための手続き方法についてです。

子どもが1歳に達する日の前日を含む支給対象期間までの支給申請時に、下記の書類を添付して勤務先、またはハローワークまで提出しましょう。
・住民票の写しなど、支給対象者の配偶者であることが確認できる書類
・配偶者の育児休業取扱通知書の写しまたは配偶者の疎明書等配偶者が育児休業の取得を確認できる書類(配偶者が雇用保険の育児休業給付金を受給していない場合、または支給申請書に配偶者の雇用保険被保険者番号の記載がない場合に限る)

「パパママ育休プラス制度」を利用したいと思ったら、夫婦それぞれの勤務先とやり取りしなければなりません。制度を利用するには条件もあるため、事前に一度ハローワークで相談するといいかもしれませんね。

▼育児休業を延長する場合の手続き


これまで見てきたように、育児休業は最長2歳まで延長することが可能です。ただ原則としては1歳までの制度なので、延長するためには手続きが必要になってきます。

子どもが1歳になった後、1歳6ヶ月になった後について、それぞれ支給対象期間を延長してもらう必要があります。以下のいずれかの際に「育児休業給付金支給申請書」に必要な記載を行って、延長事由に該当することを確認することができる書類を添えて提出しましょう。
・子どもが1歳、または1歳6ヶ月の誕生日を迎える直前の追加申請のとき
・誕生日を迎えた直後の支給単位期間(8週間)の間

また、申請書のほかに必要な書類は、以下の通りです。
・保育所が決まらない場合・・・市町村が発行した保育所などの入所保留の通知書など当面保育所などにおいて保育が行われない事実を証明することができる書類
(※市町村からの発行が困難な場合は、ハローワークに相談)
・保育を予定していた配偶者などが重い病気や障害を負った場合・・・医師の診断書など
・離婚または死別した場合・・・世帯全員について記載された住民票の写し、母子健康手帳など

延長を行う理由としては、保育所に入れないことがもっとも一般的だと考えられますが、この場合無認可保育施設は含まれません。また、あらかじめ1歳、または1歳6ヶ月以前に入所できるように申し込みを行っている必要があります。

その他、延長理由によって必要な書類が変わってくるので、特殊な理由がある場合はハローワークで相談した方がいいでしょう。

■育児休業給付金にまつわる疑問

次は、育児休業給付金にまつわる疑問を解消していきたいと思います。

▼育児休業中に退職したら給付金は返還しなきゃだめ?


子どもが生まれたあとに、家庭の事情が変わるなどして、退職しなければならない場合、すでに受け取った育児休業給付金を返さなければならないか心配になる人もいるかもしれません。育児休業が始まった時点で退職を予定している場合を除き、育児休業期間中に退職した場合、それまで受給した育児休業給付を返金する必要はありません。

勤務先に退職の意思を伝えたあとは、その支給単位期間以降、支給対象からは外れます。

▼育児休業中に夫の扶養に入れる? 配偶者控除は受けられる?


育児休業給付金は非課税のため、控除対象配偶者に該当するかどうかを決めるための合計所得金額には含まれません。そのため、産休から育児休業をとった場合、その年の1月1日から産休までの間に給与収入が150万円以下であれば、配偶者控除、もしくは配偶者特別控除の対象となります。

夫が38万円の控除を受けることができるため、税金の還付を受けることができます。共働きであるという時点で、控除は受けられないと諦めている人もいるかもしれませんが、節税にもなるため、該当する人は検討してもいいかもしれません。ただし、社会保険についてはこのうちではありません。以下で見ていきましょう。

▼育児休業中に社会保険料は支払う必要あり?なし?


育休のことどれくらい知ってる? いつ申請をする?もらえる条件は?

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育児休業給付の受給中は、社会保険料(健康保険、厚生年金)については、被保険者本人および事業主負担分が免除されます。社会保険料を支払う必要がないため助かるという人も多いでしょう。ただ、本人が被保険者のままでいる必要があるため、夫の扶養家族になることはできません。育児休業中にしっかりと節約できるお金を見直してみましょう。

育休のことどれくらい知ってる? いつ申請をする?もらえる条件は?

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■まとめ

子どもが産まれると、養育費や教育費など必要なお金も増えてきます。育児休業中は、子どもと過ごしながら、今後の人生においてどうやって働いていくか考えるチャンスでもありますよね。育児休業給付金についてしっかりと把握したうえで、家族で描いていきたい未来の形をぜひあらためて見つめなおしてみましょう。


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