2019年3月15日 13:00|ウーマンエキサイト

西加奈子、「母、女性としても輝く」は求めすぎ。自由を願う彼女の子育てと仕事



■“自由”を奪われた産後、支えとなったものは?

「まく子」西加奈子さんインタビュー
――忙しくお仕事をされているなかでの妊娠。不安はありませんでしたか?

それは、なかったですね。

――実際にお子さんを出産されて、“自由が奪われることがつらかった”という西さんのインタビューを拝読しました。

本当につらかったのは産後1ヶ月。「外に出られへん」と。それ以降は、子どもを連れてどこにでも行けたので、気持ちは変わりました。

――つらかった時期、何が西さんを支えていたのでしょう?

友だちですね。ほぼ毎日、友だちに来てもらって、話をしたり、聞いたりしていました。


――気持ちを吐き出せる場所があることは、大事ですよね。

あとは、聞くことも大事。自分に自由がないので、「今どんな仕事してるの?」とか「どんなレストランに行ったの?」といった友だちの外での生活を聞くことが、とても慰めになりました。

――自分で体験したわけではないけれど、話を聞いて心を豊かにする。少し読書にも近い気がしますね。

そうですね。赤ちゃんとずっと2人きりでいるのは行き詰まるので、友だちの話を聞きながら、その社会性も一緒にもらう感じでした。

いまは保育園にも助けてもらい、ベビーシッターさんにもたまに来てもらっています。
親も友だちもいる、夫ももちろん育児してくれる。自分ひとりだけで子育てをしているわけではないので、すごく安心感がありますし、楽しいです。

■女性にどれだけ求めているの!というプレッシャーが怖い

――現在は、どのようなペースでお仕事をされているのですか?

子どもを保育園に預けている間とか、できるときに執筆するという感じで、あまり決めないようにしているんです。

――あえて決めていないんですか?

決めちゃうと、できなかったときに悔しいじゃないですか(笑)。だから、「できるとき」に書くことにしています。

――なるほど(笑)。お子さんの存在が、執筆のモチベーションにつながるようなことはありますか?

時間が物理的にむちゃくちゃ貴重になったので、集中力は上がりました(笑)。昔はダラダラできたけど、「この時間に書かないと、夜は絶対書かれへん!」と。


――時間は本当に貴重ですよね。ちなみに、母になって気づいた自身の一面はありますか?

「自由を奪われるのが一番イヤなんだ」、と気づいたのは大きかったですね。「絶対に罪は犯さんとこう」と思いましたもん(笑)。

子どものためにとかではなくて、自分のために「刑務所入るようなことはせんとこう」と。「自分で稼げるようにしよう」とか、「自分ひとりで動けるように体を大切にしよう」とか、“自由でいられるように”という気持ちは強くなりました。

――ウーマンエキサイトの読者には、仕事に育児にがんばっているママがたくさんいます。母になっても、女性として輝き続ける秘訣(ひけつ)を教えてください。

私、そういう考えが好きじゃなくて(笑)。
「母である上に女性として輝く」って、なんか怖いというか、プレッシャーになるんですよね。「どれだけ求められんねん!」と(笑)。

自然でいいと思います。お母さんとしてがんばっているならそれで充分だし、ボロボロでもいいと思う。

――そのお言葉、すごく励まされますし、読者にも響く気がします(笑)。

よかった(笑)。お母さんは、家事や仕事、育児をやっていらっしゃるだけで、ほんっっっまにすごいと思います。ドえらい賞を何個ももらっているのと同じなので、ご自身を褒めてあげてほしい。
「自分すごい!」って、毎日100回くらい言ってもいいと思いますよ!

映画『まく子』
「まく子」西加奈子さんインタビュー

©2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)


小さな温泉街に住む小学生5年生のぼく(サトシ)は、子どもと大人のはざまにいる。ぼくは、猛スピードで「大人」になっていく女子たちがおそろしかった。女の人とみれば、とたんにだらしなく笑う、父ちゃんみたいには絶対になりたくなかった。だから、否応なしに変わっていく自分の身体に抗おうとしていた。そんなとき、コズエが突然やってきた。コズエはとても変で、とてもきれいで、なんだって「撒く」ことが大好きで、そして彼女には秘密があった…。

原作:「まく子」西加奈子(福音館書店 刊)
監督・脚本:鶴岡慧子
出演:山崎光、新音、須藤理彩/草なぎ剛
主題歌:高橋 優「若気の至り」(ワーナーミュージックジャパン/unBORDE)
2019年3月15日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー

公式サイト:http://makuko-movie.jp/

※山崎光さんの「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記となります。
※草なぎ剛さんの「なぎ」は弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記となります。


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