理想じゃない恋のはじめ方。(第7話)
【これまでのあらすじ】
汐里は大和の真っ直ぐな告白を受けて、ちゃんと向き合うことを決めた。
しかしある日の就業後、家にある汐里の私物を返したいと言う新実さんと、付き合っていた時2人でよく行ったBARで会うことになり、「愛しているのは汐里だけだ」と言われて動揺してしまう…
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理想じゃない恋のはじめ方。(第6話)
第1話はこちら▼
理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)
事件
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――――ピピピピピ
目覚まし時計が鳴っているけど、体が動かない。もう今日はこのまま寝ていようかな。
仕事もサボって、ダラダラしていたい。いっそ休職届を出して、しばらくゆっくりしようかな。
旅行して、美味しい物を食べて、辛いことや悩ましいことを全部忘れて……。
『愛しているのは、汐里だけだ』
不意に、頭の中で新実さんの言葉がリプレイされた。
『しおちゃん、帰ろ』
同時に大和の笑顔も浮かんでくる。本当、何をやっているんだろう。大和と向き合うって決めたのに、新実さんの言葉に揺らいだりして。
「(私って、こんなに情けないやつだった?)」