くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(最終話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(最終話)

そりゃ無理もないか。昨日も一昨日も当直だったもんね。このまま寝かしててあげたいけど、絶対起こしてって言われるしなぁ……。

「イルミネーション、行くんでしょ」

その一声で、大和はむくっと起き上がった。

「今、何時?」

「16時半だよ」

「やばっ、あと30分しかないじゃん」

「別にそんなに急がなくても。22時くらいまでやってるんでしょ」

「17時から点灯式があるんだよ」

へぇ、そんなのがあるんだ。大和用に目覚めのコーヒーを淹れていると、匂いにつられた彼がキッチンに入って来た。

「こういうの、何かいいな」

「何が?」

「彼女がコーヒーを用意してくれるの」

「自分用かもしれないよ」

「だって、それ俺のカップじゃん」

意地悪っぽく笑った大和は、「ありがと」と言い、私の頬にキスをする。
正式に付き合うようになってから、私の部屋には大和の物がどんどん増えていて、もうどっちの家が分からないくらい。

家賃が勿体ないし、一緒に暮らそうかという話がちょうど昨日出たところだ。

「そういや、しおちゃん、玄関の整理した?」

「あ、気が付いた?」

「うん、何かスッキリしてるなーって」

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