【『ファイトソング』感想9話】越冬して再び咲く花のように・ネタバレあり
の三角関係を時にコミカルに、時にセンチメンタルに描いてきた『ファイトソング』(TBS系火曜22時)。
あと最終回を1話残して終盤である。
前回のラストで、思い出と曲作りのための恋を終わらせて、花枝は聴神経腫瘍の手術を受ける。そこから今回の冒頭で、ストーリーは一気に2年飛ぶ。
淡々と始まるストーリーの中で、手術後に花枝の聴覚がどうなったかは明言されない。
しかし、後ろから走ってくる自転車のベルに気づかずに走っている姿や、一瞬挟み込まれる音のないシーンで、やはり耳は聞こえなくなったのだと分かる。
慎吾も、凜(藤原さくら)も、理髪店の迫(戸次重幸)も、養護施設長の直美(稲森いずみ)も、会話に花枝を交えると少しオーバーアクションになる。
施設の子供たちも、電灯のスイッチや、スマホのアプリを駆使して花枝とコミュニケーションを取っている。
耳の聞こえない存在をごく自然に包み込んで暮らしている様子が微笑ましい。
ちなみに、漫才師を目指す慎吾の後輩二人、ヒデ(若林時英)と俊哉(窪塚愛流)のコミカルさは、同じ岡田惠和脚本のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』の漫画家コンビを彷彿とさせる。
どちらの作品でも、屈託がない賑やかなコンビは、物語をまろやかにする、ひとふりの隠し味のようだと思う。