【『ファーストペンギン!』感想 最終回】それでも最初に飛び込むんだ!・ネタバレあり
その後も和佳は元気で暮らしている様子で、浜のことを深く気にかけているけれども、約束相手の辰海の死後も筋を通して浜には戻らず、汐ヶ崎の幸せの輪の中にはいないのだった。
「なぜだ、こんなの納得できない」と、見ていて心の片隅が痛くなる。
だが、もしこれが少しでも納得いかないと思うなら、「ここで現実を振り返り、縮みゆくこの国の農林水産業を、国全体の未来を考えてみて下さい」という作り手の願いかもしれないと思った。「長いものに巻かれなかった人の勇気に報いられない、今でいいのですか」と。
その勇気あるペンギンは最初に飛び込んで、泳ぎきることはできなかった。
傍目には敗者かもしれないけれど、最初から最後まで圧倒的に格好よかった。
巻き舌の啖呵も、何一つ諦めない図太さも、人の愚かさを包む暖かさも、自分のプライドは二の次で部下の為に土下座する姿も、生涯筋を通す潔さも、何もかも爽快で格好良かった。
その発端は、愛する息子がこれまで食べられなかった魚を美味しく食べたという喜びで、その幸福を更に多くの人に届けることのできる事業は決して間違ってはいないという強靱な信念だった。
誰かの日々の暮らしの小さな幸福は、いずれ地域社会の繁栄と幸福に、更にこの国の未来にまで繋がっている。