【『大奥』感想6話】仲里依紗の爆発的な演技力が見せつける、哀しき女の一生
Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2023年1月スタートのテレビドラマ『大奥』(NHK)の見どころを連載していきます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
漠然とした悲しみや痛みが、一つの言葉にまとまった途端に輪郭を持って刃に変わる。
NHKドラマ10『大奥』6話。周囲には奔放で性愛を愉しんでいるかに見えていた女将軍が、自嘲しながら吐き出した「そうか。これは辱めであったか」という言葉。
周囲から「上様、上様」と持ち上げられながらも、苦しみもがいて生きていた彼女の痛切さを表すのに、小さくてもこれ以上に鋭い刃があるだろうか。
これは原作にない、ドラマ化にあたって付け加えられた一言である。
コミックの映像化だから、時には原作通りには書けないことも、そして時間の制約や流れで入れられないエピソードもある。
けれど、この鋭い一言は、ドラマの作り手が原作の一番大切な部分を深く汲み上げて、誠実に作りあげているということを如実に示すセリフだと思った。
※写真はイメージ
男子のみがかかる伝染病のために女性が政治と労働を担い、体制変革を経て、既に戦乱の世が数十年前に遠くなった元禄の時代。