ねー」
と、部屋の一隅に向かって笑いかけました。
ときどき、「もったんといっちゃん、いま遊びに来てる?」と聞いてみました。「うん、来てるよ」「いま、そこに座ってる」と、頻繁にいる様子。幼稚園に通い始めた4歳の頃から、もったんといっちゃんが遊びにくる回数が少なくなったようでした。そして6歳になった頃には、もう来なくなったのです。
同じように、娘の幼なじみの男の子には、『おーばい』という見えない友達がいました。二人で遊ぶときには、それぞれの見えない友達も一緒だったようです。
『見えない友達』を精神医学用語で『イマジナリーフレンド』というそうです。
人間関係を作ることに慣れていない子どもが、気持ちを共有したいときに『空想の友達』に話しかけるようになるそうです。
この体験は豊かな創造性を育む上で大切なプロセスで、親は受け入れて見守ることが大切です。創造性こそ、生きることを豊かにする源ですから。
幼稚園や保育園、そして学校に通うようになり、子どもたちは現実の人間関係の中に入っていく。子どもにとっては大きなチャレンジの始まりです。人との関わりが心を育てていく。そしてそれは、子どもたちの夢のような心の空間が薄らいでいく始まりでもあるのです。