くらし情報『手に障がいのある女性 食堂で出されたスプーンを見て、胸がいっぱいになったワケ』

手に障がいのある女性 食堂で出されたスプーンを見て、胸がいっぱいになったワケ

おそらく、店のリニューアルに伴って食器類が替わったのだと思う。私は手があまりうまく動かせないので、スープを掬う時や、サラダにかかったドレッシングを最後まで掬う時は、銀のスプーンを使えば上手く掬うことができていた。しかし、木製のスプーンは厚みがあるため、掬うことが難しくなってしまって最後の一滴を残すようになってしまった。そのうちに、私はそのお店からは足が遠のいていってしまった。

それから数か月過ぎたある日、久々に食堂に足を運んだ。久しぶりに食堂の味を食べたくなったのだ。

お店に入ると、いつものマスターが迎えてくれた。注文を済ませ、お冷をグイっと飲みほすと料理が到着した。
しかし、その時、私は料理の風景に違和感を覚えた。周囲の人は木製のお皿に木製のスプーンで食事をしているのに、私の目の前にあるのは木製のお皿に銀のスプーンだ。あたりを見回しても、銀のスプーンを持っているのは私だけだった。

銀のスプーンを添えてくれたおかげで、いつものランチのスープもドレッシングもすべて掬って食べることができた。もうスプーンの心配をせずにランチを思いきり楽しめる―。そう思ってほっとしたことを覚えている。

おそらくマスターは、私が今まで食事する姿を見て「食べにくそうだな」

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