2歳息子とバスに乗ったら… 運転手の『行動』に、母親が涙こらえた理由
「どうもありがとうございます」と言って、息子を抱きかかえたまま一番前の席に移動した。
そして、もう一度運転手さんに御礼を述べて、息子にも「一番前に座れて良かったね」と言うと息子は笑った。
しばらく行くと「次は歌舞伎町です」と車内アナウンスが流れた。
私は、「もうすぐガオーさんが見えるよ」とTOHOシネマズ新宿のゴジラを楽しみにしている息子に耳打ちした。
少し走り、信号待ち。いつもより少し前に停車しているようだ。すると、運転手さんが小さな声で「どう?ゴジラ見えた?」と話しかけてくれた。どうやら息子の為に、見えやすいように停車してくれたようだ。
私は胸がいっぱいになった。バスが大好きな息子が、バスの中で泣いたことは一度も無かったけれど、それでもいつ大声で泣き叫んでしまうだろうか、と不安な気持ちでいた。
周りに迷惑をかけないようにとドキドキしながら都会で子育てをしていた私に、その運転手さんの優しさが、鐘を打ったかのように心の中にじわんじわんと響いた。一緒に子育てをしてもらっているような、そんな気持ちにさえなった。
終点の新宿駅西口で降りる時、私はもう一度運転手さんに御礼を言ったが、涙がこぼれそうで声が震えた。