父親とギクシャクしていた娘 ある日『茶封筒』を手渡されて…
正直、父と私はあまり上手くいっていなかった。お互い会話を避けるような時期もあった。
私は社会人になり、ようやく働きながら家のこと、まして2人の子供たちのことまで考えてきた父の大変さを知ることとなった。
自分勝手で未熟な私も、父なりの、口には出さないが、子供たちへの大きな愛情に、やっと気がついたのだ。
父が帰ったその日の晩、娘を寝かせつけてひと息ついた私は、よくわからない理由で渡された封筒を眺めながら、中に入っているお金の使い道を考えていた。
娘には、入園祝いとして、既に自転車を買ってもらっていた。やっぱりこんなにはもらえない、今度会った時に返そうと思った時、携帯電話に父からメールが届いた。
恐らく一杯やった後なのだろう、父にしては珍しく長文で感情的なメールだった。
私と妹に宛てたメールには、封筒の中身に込められた父の思いが書かれていた。
「お母さんが逝ってしまって、今年で四半世紀になります。ここで一区切り、渡したお金はお前たちが自分のために使いなさい。」と始まるメールには、次のような事が書かれていた。
私も妹も、今ではそれぞれ母親となり、よく頑張っていると思うこと。そして、それを嬉しく、頼もしく思っているということ。