学童で遊ぶ子供たち 大人がハッとさせられたことは…【きしもとたかひろ連載コラム】
と生きていけたら。そうやって生きていけるように子どもたちを受けとめられたら。
「これ、あげるわ」と、さっきのネコと同じサイズのアイロンビーズを手渡された。ぼくが異動で会わなくなるから餞別らしい。ピンクの顔に耳が生えていて目と鼻が色を変えてつけられている。
ウサギだな、と思っていたら「ウサギを作っててんけど、ブタみたいになったからブタやで」と、面白いのか照れてるのかわからない笑顔で教えてくれた。「ウサギに見えるよ」とは言わなかった。ウサギのつもりがブタになった。
それを知ったらなんだか、そのピンクのブタが急に愛らしく見えてきた。
先日、6歳の友人と出かけた時に、暑かったので自販機でアイスを買った。17種類ある中からソーダ味のシャーベットを選んだ。
吸って食べるタイプのやつだ。はじめのうちは固くて出てこないからと絞り出すようお願いされた。
しばらくしたら暑さでとけてほとんど液体になっていた。「溶けちゃったね」と言うと、「溶かしてジュースになるのが美味しいねん」と言っていた。
アイスを食べてるつもりだったのに途中からジュースを飲んでいた。
ぼくはなぜだか、ブタになったウサギのことを思い出した。