感染拡大でピリピリしがちな日常 『小さな感謝』を忘れずにいたい
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
小さな感謝が明日を作る
電車の中でお年寄りに席を譲るとき、私は父や母のことを思ったものでした。父も母もこうして席を譲ってもらえるように。祈るような気持ちで、座席を立ちました。
母は4年前に亡くなり、父も89歳。父も滅多に電車に乗ることはなくなりましたが、必要としている人に必要としているものが届きますように、という思いで席を立ちます。
車を運転しているとき、車線変更をしようとしてもなかなか入れてもらえないことがあります。そんなときに車間を開けてくれる車をサイドミラーに見つけると、感謝が湧き上がります。
少々大げさに聞こえるかもしれませんが、我先にとばかりにスピードを上げて追い抜いていくドライバーの中にあって、譲ってくれる人には心の大きさを感じてしまうのです。