カメラが故障し、涙する女性 店員のおじさんがとった行動は…
と言いながら、喜んでフィルムを入れてくれた。私も、念願のフィルムカメラで写真を撮れると思うと、ワクワクした。
「記念の一枚目は、おばさんにしますね」私はシャッターを切った。カメラは微動だにしなかった。「あれ、おかしいな」私は、もう一度シャッターを切った。しかし、カメラは、静かなまま動かなかった。
動かないカメラを眺めていると、思わず涙がこぼれ落ちた。やっとの思いで出会えたカメラが、壊れていたことが、ただただ悲しかった。
私は、おばさんが教えてくれた、近くの中古カメラ屋さんへ足を運んだ。店内では、おじさんが一人、机に向かってカメラの修理をしていた。壁の棚には、たくさんのカメラが窮屈そうに並んでいた。
私は、壊れたカメラをおじさんに手渡し、事情を説明した。おじさんは、カメラを手に取ると、残念そうに話した。
「モーターが壊れているね。こういうカメラは、電化製品だから、同じ部品を購入しないと直せないんだ。これは珍しいから、部品はもう見つからないな。
何もできなくて、ごめんね」おじさんは、カメラを机に置いた。「でも、昨日買ったんでしょう?どのお店?」
私は、銀座のカメラ屋さんの名前を伝えた。