くらし情報『カメラが故障し、涙する女性 店員のおじさんがとった行動は…』

カメラが故障し、涙する女性 店員のおじさんがとった行動は…

するとおじさんは、電話をかけ始めた。そして電話を切ると、「レシートを持っていけば、返品できるよ」と静かに言った。

その瞬間、このおじさんに私のカメラを見つけてもらおう、と思った。

「あの、私にぴったりの、軽くて、小さくて、壊れないフィルムカメラを、代わりに選んでください」

おじさんは、恥ずかしそうにアハハと笑った。

「そんなもの、ないよ」

困惑したように笑いながら、おじさんは、店内を歩き始めた。棚からカメラを手にとっては、考え込み、棚に戻す、をずっと繰り返していた。

「あっ!」

おじさんは、店の奥の部屋に駆け込んだ。出てくると、手には小さな赤いカメラを持っていた。


「これはね、ハーフカメラ。普通の二倍の写真が撮れて、その分小さいんだよ。機械式だから、壊れても直せる。全部修理したばかりで、新品同様だよ。ただ外見が、元々はグレーの皮なんだけど、全部貼り直して、思い切って赤にしちゃった。でもあなたなら似合うよ。一万円。どうかな」

軽くて、小さくて、壊れなくて、たくさん撮れて、大好きな赤色のカメラ。


おじさんは、壊れたカメラからフィルムを取り出すと、フィルムの入れ方と出し方を、一から教えてくれた。

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