くらし情報『宝来館女将 亡くなった従業員の分も「生きっぺし」W杯誘致へ』

2019年3月11日 11:00

宝来館女将 亡くなった従業員の分も「生きっぺし」W杯誘致へ

「登山道の入口が渋滞していて、後から来た2人のお母さんを押し上げて。さぁ、上ろうとした瞬間、水の中だったんです」

背後から津波にのまれ、岩崎さんは水の中であおむけになった。

「空を見上げて浮いた格好になっていました。その空がまた、すごく奇麗な青空で。痛くも怖くもないんです。あ~、私、54歳だけど、これで死ぬ運命だったんだな、と」

諦めにも似た思いもよぎったが、突然、目の前が暗くなり、息が苦しくなった。小型ボートが彼女の上に覆いかぶさったようだった。その息苦しさに、正気に戻った。岩崎さんは、強く思った。

「生きっぺし!」

運よくボートが頭上から外れ、立ち泳ぎをして浮かび上がった。

「あのがれきをつかめば何とかなると手を伸ばしたら、ふわ~っと温かなんです。がれきじゃなくて、女性スタッフの手だったんです」

「女将さん、手を離さないで」という声が聞こえた。一緒に流された2人の女性スタッフと助け合い、マイクロバスの屋根によじ登り、山の斜面に飛び移って山の急斜面を駆け上がった。間一髪で命をつないだ。宝来館に逃げた人からは1人も犠牲者が出なかった。しかし、津波の前に自宅に向かった板長の上澤さんは、助からなかった。

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