2019年4月17日 16:00
同居介護の前にやるべき「世帯分離」、そのメリットと申請方法
では、A夫妻のようなケースに当てはまらなくても、申請するメリットはあるのだろうか。畠中さんが解説する。
「親が75歳未満で、子が勤めている会社の健康保険組合の福利厚生が充実している場合は“保留”にしておくべきでしょう。被扶養者の親にも差額ベッド代が出たり、人間ドックを安く受けられるなどいろんなサービスがあります。しかし、75歳になると、後期高齢者医療制度に移行するため、すべての人が子の健康保険から独立します。後期高齢者は要介護リスクも上がることから、75歳以上の同居親がいる場合は“いますぐ世帯分離すべき”でしょう」
世帯分離という考えは、住民基本台帳法が制定されたときからすでにあったが、介護負担の軽減のために用いられることは少なかった、と太田さんは話す。
「日本では、年老いた親は家族で面倒をみることが“美徳”とされてきただけに、世帯分離という言葉を聞いて“親を捨てるのか?”と思われる人もいます。しかし、これはあくまで住民基本台帳に基づく手続きであり、戸籍はそのままなので“親と縁を切る”ことではありません。
扶養から外れるわけではないので、所得税の扶養家族控除はそのまま。控除と社会保障費の両面でお得なシステムなのです」