高齢化迎える動物園 レッサーパンダ風太くんは人間なら80代
すくっと二本足で立ちあがる姿が印象的な風太くんだが、もともと立つのは好奇心が旺盛で、外の景色を眺めるためだという。
「最近は年齢的に達観したというか、外の風景に慣れて、あまり立ち上がりません。でも、餌をあげるときは、飼育員の前でつかまり立ちを見せたりします。右目には白内障を患っており、今は左目にも異常がないか、こまめにチェックをしています」
風太くんのような動物の高齢化はほかの動物園でも起こっている。
ときわ動物園(山口県)では、敬老の日に高齢動物がいるバックヤードを公開。動物課長補佐の木村嘉孝さんがその理由を話す。
「動物園は生きることを学ぶ場でもあるので、展示できない高齢動物を公開することも意味のあることだと感じています。バックヤードにはテナガザルなどがいますが、なかには胃腸が弱かったり、指が1~2本曲がりにくくなっている個体もいるので、餌は柔らかく、握りやすいものにしています」
京都市動物園・種の保存展示課の山下直樹さんも現状を語る。
「当園のアカゲザルは、屋外の猿島で飼育していますが、高齢の個体は動きが鈍く、若いサルに餌を食べられてしまうこともあります。そこで、高齢のアカゲザルのために“老猿ホーム”を作りました。