高齢化迎える動物園 レッサーパンダ風太くんは人間なら80代
高い位置にある屋外へと続く通路には、スロープを設置して、転倒しても大丈夫なように床にはわらを敷き詰めています」
同園では1月31日、長年ケアしてきた国内最高齢のライオン(ナイル)が死亡した。
「数年前から食べる量が減り、痩せて胸や腰の骨が浮き上がっていました。以前は体つきがしっかりしていて、毛のツヤもあったのですが……」
日々、衰える姿に「安楽死を」という声もあったという。
「でもナイルは、部屋から外の展示場に自ら歩いて出ていました。それに動物の一生をお見せすることも動物園の役割だと思います。そこで、天寿を全うするまでケアを続けたんです。ただ、新たにライオンを導入する予定はありません」
同園のようにライオンやゾウといった大型動物が死亡したとき、次がいない動物園は少なくない。
体感型動物園iZOO(静岡県)の園長で動物商の白輪剛史さんが、その背景を解説する。
「これまでの動物園は、1~2頭といった少数で、いろんな動物を見てもらうことに力を入れていた側面がありました。また、例えばゾウの場合、ケガのリスクを避けるため、比較的おとなしいメスばかり購入していたこともあった。その結果、種の保存という動物園の役割が薄れ、繁殖があまりされてこなかったんです」