2020年8月25日 11:00
江口のりこ 元上司語った極貧時代…風呂なし四畳半で新聞配達
部屋を見たこともあるのですが、敷きっぱなしの布団があるだけでちゃぶ台すら置いていませんでした」
朝4時に起床、夕方も新聞を配達。夜の弁当は有料のため、朝ごはんの残りを分けてもらう極貧生活を送っていた江口。だが、そんな彼女にも唯一の楽しみがあった。
「『テレビが大好き』と言っていたのに持ってなかったので、余っていたテレビをあげたんです。そうしたら江口さんが『ずっと見てていいんですか?見たまま寝ちゃう可能性もあります』って。光熱費も会社負担なので心配したんでしょうね。真面目なコでした」
それでも江口の夢を追いかける熱意は誰よりも強かった。
「ウチで働き始めたとき、彼女は『劇団東京乾電池』の研究生でした。
仕事をしながらレッスンを受けて、大変な生活のはずなのに弱音ひとつ吐かなかったです。体力仕事なので女のコは体調を崩すこともあるんですが、江口さんが休んだのは1年間で夕刊の1回だけ。しかも翌日にはケロッとしてました。配達ルートの覚えも早いし、男に負けないくらいタフなので頼りになる存在でした。
その年はたけしさんの『菊次郎の夏』が公開された年。ふだんあまり笑わない江口さんが『すごい面白かった!』と満面の笑みで話していたのをよく覚えています」