「パパは僕たちを捨てた」と…がん克服の笠井アナ語る家族の絆
僕がそうした仕事ぶりをその後も続けていた先に、今度の病もあったのだと思えるんです」
19年9月半ばに、腰痛に襲われたが、
「フリーになる前には会社の重い荷物の整理をしたりしたので、そのせいでのぎっくり腰かと。最初の診断は『前立腺肥大』で治療もスタートしていたんですが、『悪性リンパ腫』の影響だとあとでわかるんです」
笠井さんにがんが見つかるのは、フリー転身からわずか2カ月後の12月初旬のことだった。
ほどなくして入院した笠井さん自身は、一人病院のベッドで何を思っていたのだろう。
「どんなときも、子供たちに『笑顔でいよう』と声をかけ続け、僕の見舞いも笑顔で通してくれた妻には、感謝しかないです。そうそう、蒸しタオルで体も拭いてもらいました。気持ちよかったなぁ。妻だからこそ、ですよね」
やがて病状は改善し、4月30日に退院の日を迎えた。その後も経過は順調で5月には仕事にも復帰。
そして6月となり、つらい闘病の支えだった30年目の結婚記念日をリモートながらお祝いできたのは、冒頭で紹介したとおりだ。
「僕は、よい夫、父親ではありませんでした。威厳もないし、大黒柱のタイプでもない。なのに頑固で、仕事ばかりだったそんな僕が病気になって、いわば家族のなかの弱者となった。