少年ジャンプの“裏エース”『チェンソーマン』が起こした革命
同じジャンプ漫画でも『呪術廻戦』は言葉の比重が大きい“読み物”という印象ですが、『チェンソーマン』は画でストーリーをかたる要素がとても大きい。ページをめくった時の見開きの使い方や、同じ構図のシーンを繰り返すことで登場人物の関係性やテーマを語る手法が実に見事で、漫画でしかできない表現がたくさんありました。だからこそ、漫画ファンが毎週、盛り上がっていたのだと思います。作家やミュージシャンの方も多数反応していましたが、クリエイター心をくすぐる作品でしたね」
本作の担当編集である林士平氏(集英社)によるSNS全盛期ならではのネットを巧みに使った仕掛けも一因にあるという。
「林さんはネットとの連動がとにかくうまいですよね。Twitterの使った宣伝が上手で、単行本が発売される時も、ミュージックビデオのようなものを作ってうまくイベント化していました。藤本タツキさんの才能はもちろんありますが、裏で支えている林さんの存在が大きいと思います。また、林さんが『このマンガがすごい!2021』のインタビューでも語っていたことですが、本誌の評価基準が、かつてのアンケート至上主義から、コミックスの売上やアニメ化など様々な評価軸から総合的に判断するように変わった影響も大きいと思います。