「コロナめ!ですよ」伊東四朗語る最後の喜劇人としての矜持
フェースシールドは、息子さんが調達してくれたものだという。後輩・志村けんさんの訃報はショックだったと、顔をしかめた。
「けんちゃんの雰囲気というのは、勉強しても作れるものじゃなくて。持って生まれたものなのか、努力して作り上げたものなのか、わかりませんけど、特異な人ですよ。『アイ?ン』でもなんでも、やった後、ちょっと照れる。そういうところが好き。100分の1ほど照れてるのがすごくいい。親しみを感じる。
その彼が死んじゃうってことが、あたしのなかでの彼のイメージとはイコールでないですからね。ただただ、呆然としてしまいました」
後輩の急逝もあってか、伊東は昨春以降、仕事以外の時間は基本的に“巣籠り”に徹している。
「ステイホームって全然、苦にならない。退屈がないんですよ。うちにいるときが、いちばん時間がたつのが早いです。本でも読んでみようか、自分が出ている昔のドラマでも見てみようかって、『読もうか』『みようか』と言っているうちに、日が暮れます、ハハハハ」
伊東には、喜劇人としての確固たる矜持がある。かつて、評論家で作家の小林信彦氏は、そんな伊東を「最後の喜劇人」と評した。
「東京の笑いが浅草の軽演劇からっていうね、もし、そういうスタンダードがあるんだとしたら、あたしはやっぱりそこへ滑り込んだ人だと思ってますから、はい。