「コロナめ!ですよ」伊東四朗語る最後の喜劇人としての矜持
間に合ってよかった。セーフ!」
喜劇人の友は次々と逝ってしまった。時代は移り、人も、笑いも変わっていくが、それでも変わらない喜劇の神髄は確かにある。
「喜劇は、時代のドキュメント」というのが、伊東の持論だ。
「喜劇は、いまをいちばん映しているメディアだと思うんですよ。名画といわれる昔の喜劇をいま見ると、面白いけど、どこか欠けている。現代がないんですね。喜劇は芝居ができたその年、その時に見ないと面白くない。
だから、喜劇は難しいんです」
芝居の幕が上がる前、伊東には、毎日、毎回、必ずすることがある。
「開演前に客席の様子や客層を必ず見ます。若い人が多いか、年寄りが多いかで、ちょっと変えないと、不親切だと思っていますから。喜劇って、毎日、同じやり方じゃダメなんです。笑い声のなかに、今日のお客さんの傾向を感じ取って、そっちに傾いてやらないと。笑いはタイミング。いわゆる間が命です。実は、これ、お客さんの間なんです。
幕が開いて5分ぐらいで、その日のお客さんの間をつかむ。それができないと負け。毎日が真剣勝負です」
それが老け込まない秘訣にもなっている。
今回の新作舞台は、コロナ禍にあって、観客数は定員の半数、観客はマスク着用になるという。